2011年1月18日

悩んでいるふりをしている君(ネルケ無方さん)



言葉の力にも限界がある

そう思った瞬間

言葉にならないものが発生した

のではなく

すでにあった言葉が

限界を生み出した瞬間を捕らえられず

ほら未来が今カコになる

女の名前のような過去になる

思い出のような

歴史のような

過去という言葉に依存する

未来を抱きしめられないようにして

過去に抱きしめられる

顔が宙に浮き

何を考えているのか

自分が何を考えているのか

考えるほどに

普通にしゃべる言葉すら見失う


これら全ての

生々しい事実は

言葉のない場所で発生していたのに

千年のスケールで書かれてある

難しい顔をしてしまうと

思いもよらず

古典としてカコを解釈してしまう

僕のためだけにあらわれたテキストにしてしまう

カコはまだ生きているんだ

言葉にできないのは

カコがもういないんだという

思い込みの強さを見つけられる

シュゴがいないからだ

言葉の限界がこの私を主語として区切る

だから意識には際限がなく

ぼんやりとした輪郭を描くことで

永遠を語りだす

永遠とつりあうためには

言葉に出来ないものがあると

言葉で表現するしか手がない

カコはその言葉が大嫌いだ

いなかったのはそれをきいてくれる人ではなくてぼくじしんだった

2011年1月17日・18日 著者ネルケ無方(安泰寺住職)
よろみ村龍昌寺にて
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